診療案内-腫瘍・その他の診療-

早期に発見することで、
生活に支障なく治すことも可能な
婦人科カテゴリーの病気があります。

自覚症状がほとんどない早期の発見と治療のために、定期的な検診を受けましょう。また、結婚や出産を控えて、ご自分のお身体について知っておくのは重要なこと。当クリニックでは、ブライダルチェックなど、さまざまな検診で女性をサポートしています。

さまざまな婦人科の病気についてご説明

婦人科検診やブライダルチェックについてご説明しています。

  • 子宮頸がん
  • 子宮頸がん精密検査(コルポスコピー)
  • 子宮体がん
  • 子宮内膜症/チョコレート嚢腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮筋腫
  • 卵巣嚢腫
  • 傍卵巣嚢腫
  • 卵管留水腫
  • ポリープ(婦人科領域)

子宮頸がん

子宮頸がんの発生の多くはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しており、HPVは性交渉で感染することが知られています。
近年では性交渉の低年齢化により、20~30歳代の若い女性にも子宮頸がんが増えてきています。子宮頸がんは早期に発見、治療を行えば完治も可能な病気です。したがって性交渉を開始したら定期的な検診を受けることが重要です。
厚労省の「がん検診実施のための指針」では2年に1回の検診が提言されていますが、この根拠となった欧米の報告の対象者は、過去に毎年検診を受けていた女性です。我が国の子宮頸がん検診受診率20%強という現状と大きく異なりますので、当クリニックでは年1回の検診をお勧めしています。
また子宮頸がんワクチンを接種した場合、HPV16/18型の感染は予防できますが、それ以外のHPVの型で子宮頸がんになる可能性もありますので、やはり定期的に検診を受ける必要があります。
米国では検診で細胞診とHPV検査の両方が陰性であれば検診間隔を3年に延長できるとしています。

子宮体がん

最近6ヶ月以内に不正性器出血(一過性の少量出血など)、月経異常、褐色帯下のいずれかの症状があった場合は子宮体がんの疑いがあります。検査を受けてください。

ご注意
  • 妊娠の可能性のある方は検査できません。
  • 検査に伴い、痛み、出血、感染などの合併症のリスクがあります。
  • 子宮頸がんの検査と比べ精度がやや劣るため、偽陰性となることがあります。細胞診の結果が陰性であっても不正出血などの症状が続く場合には、再検査が必要です。

診療案内その他診療

子宮や卵巣などに起こる女性特有の病気。当クリニックでは、わかりやすく、そして詳しくご説明して、ご一緒にベストな治療を考えていきます。

子宮内膜症/チョコレート嚢腫

子宮内膜症

子宮内膜※1によく似た組織が、なんらかの原因で卵巣、卵管、子宮周囲の腹膜、時には子宮から遠く離れた肺など子宮内膜以外の場所で増殖してしまう病気です。子宮内膜様の組織が月経のたびに増殖・剥離を繰り返し、様々な症状を引き起こします。子宮内膜症を持っている女性は性成熟女性の約10%にのぼると考えられています。
※1子宮内膜は、排卵後に受精卵の着床に備えるために厚くなり、受精卵が着床しなかった場合には剥がれ落ちて経血となって月経時に排出されます。

チョコレート嚢腫

卵巣の内部に発生する子宮内膜症のことをチョコレート嚢腫(嚢胞)と呼びます。卵巣内で増殖した子宮内膜からは、月経のたびに出血が起こります。出血は卵巣に貯留して囊胞を形成します。出血は時間の経過とともに茶褐色でドロドロしたチョコレート様に変化するので、チョコレート嚢腫という名前になっています。

子宮内膜症の症状

年齢とともに強くなっていく生理痛、不妊、生理時以外の下腹痛、腰痛、性交痛、排便痛など。

子宮内膜症の治療

子宮内膜症の治療法は、薬物療法と手術療法があります。薬物療法では、嚢腫がまだ小さく、現時点で妊娠を望まない場合に「低用量ピル」を選択します。喫煙・肥満・高血圧・糖尿病などがあって低用量ピルが内服できない場合、またピルで効果不十分の場合は「プロゲスチン(黄体ホルモン)製剤」を選択します。ほかにGnRHアゴニストによる治療もありますが、このお薬は女性ホルモン量を下げ、体を閉経の状態に近づけてしまうため、更年期症状や骨量減少の副作用があります。投与期間は6ヶ月ですが治療後に病変が再び増大することが多く、進行を一時的に抑える治療に止まります。更年期の方にはそのまま閉経に持ち込むことを狙った治療として用いる場合がありますが、更年期前の方には適しません。

どんな治療をするかは、妊娠の希望の有無など、ご本人がどのようなライフスタイルを選択するかによって異なってきます。ベストな治療を選択できるよう、しっかりご説明しています。

子宮腺筋症

子宮内膜※1によく似た組織が子宮の筋層内に生じて、増殖してしまう病気です。子宮内膜症と同様に、子宮内膜様の組織が月経のたびに増殖と剥離を繰り返すため、様々な症状を引き起こします。
子宮内膜症では、子宮以外のいろいろな場所に組織ができますが、子宮腺筋症では、子宮に組織ができるという違いがあります。
※1子宮内膜は、排卵後に受精卵の着床に備えるために厚くなり、受精卵が着床しなかった場合には剥がれ落ちて経血となって月経時に排出されます。

子宮腺筋症の症状

年齢とともに強くなっていく生理痛や過多月経(月経血量が異常に多くなる)が特徴的です。ただし、自覚症状のないこともあります。30歳代後半から40歳代の出産を経験された方に多くみられます。
また、子宮腺筋症と子宮筋腫は、症状も他覚的所見も似ています。しかもこの両者は合併することが少なくありません。

子宮腺筋症の治療

子宮腺筋症の治療法は、患者様の年齢、症状の程度、出産希望の有無などにより変わってきます。
将来、妊娠をご希望されない場合は、再発を起こさないために子宮をすべて摘出する子宮全摘術が選択されますが、将来の妊娠をご希望されていて腺筋症が子宮の一部に限って発生している場合、子宮腺筋症の部位のみを取り除く子宮腺筋症摘出術を行うことがあります。
また、子宮動脈塞栓術(子宮につながる動脈の血行を止める治療)も試みられていますが、現時点では手術療法が中心的な治療法となっています。
手術をご希望されない場合は、子宮内膜症に準じた薬物療法を行います。

子宮筋腫

子宮の筋肉にできる良性の腫瘍(こぶ)です。
性成熟女性の20~40%に存在すると言われており、珍しくない病気です。
子宮筋腫は3種類に分類され、筋腫が内膜に接して子宮内腔に突出しているものを粘膜下筋腫、子宮筋層内にあるものを筋層内筋腫、子宮の外側に飛び出しているものを漿膜下筋腫と言います。
子宮内膜は、排卵後に受精卵の着床に備えるために厚くなり、受精卵が着床しなかった場合には剥がれ落ちて経血となって月経時に排出されます。
子宮筋腫は良性ですが、茎捻転、血行障害、感染などを起こすこともありますし、まれではありますが悪性化することもあります。ただしそれ自体が生命を脅かすようなものではありません。

子宮筋腫の症状と治療

不正出血、過多月経、貧血、生理痛、頻尿、便秘、おりものの増加などの症状がありますが、無症状のこともあります。
筋腫は大きさよりも、できる場所の方が症状の程度と関連が深いものです。
子宮の外側にできる「漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)」は無症状の場合が多いのですが、子宮の内側にできる「粘膜下筋腫」は小さいものでも過多月経になりやすい傾向があります。また、子宮の筋肉の中にできる「筋層内筋腫」も、過多月経や月経痛の原因になることがあります。
治療法には、手術療法と薬物療法があります。発生した場所や症状によって、治療法はそれぞれ異なってきます。

卵巣嚢腫

卵巣嚢腫は、卵巣に分泌物などがたまってできる袋状の柔らかい良性腫瘍のことです。

漿液性嚢胞腺 さらさらの液体が溜まった腫瘍です。年齢を問わずに卵巣嚢腫で最も多いタイプです。
粘液性嚢胞腺腫 どろどろした粘液状の液体がたまった腫瘍です。
類皮嚢腫(奇形腫) 若い女性に多く、最も高頻度にみられるのは成熟嚢胞性奇形腫といわれるものです。
これは、腫瘍の内部に脂肪や髪の毛などが含まれ、茎捻転を起こしやすい腫瘍です。
チョコレート嚢腫 チョコレート嚢腫についてはこちら
機能性嚢胞 真の腫瘍ではなく、卵巣が嚢胞性に腫大しているものです。
これには排卵ができなくて卵胞が存続したものなどが含まれます。
卵巣嚢腫の症状

卵巣腫瘍は無症状のことが多く、ほとんどが検診で偶然に発見されます。腫瘍が大きくなると下腹痛や圧迫感、腹部膨満感などがあらわれます。ホルモン産生腫瘍では不正出血や無月経の症状もあります。良性腫瘍はねじれ(茎捻転)をおこすことが多いため、激しい痛みが出て緊急手術となることもあります。

卵巣嚢腫の治療

経腟超音波検査、腫瘍マーカー(採血)、MRIなどで良性か悪生かを判断します。その上で、良性でそれほど大きくない場合には、定期的に検査をして経過観察をします。腫瘍が大きくなったら原則的に手術となります。
手術は、良性腫瘍の場合、通常は腹腔鏡を使って病巣部分だけを摘出します。ただし、サイズが大きいものや、悪性が疑われる場合には、開腹手術による卵巣切除が必要です。

傍卵巣嚢腫

傍卵巣嚢腫は、卵巣には嚢腫ができずに、卵巣周囲に発生する嚢腫です。症状は卵巣嚢腫と同様に症状がでない事が多くなっています。良性でそれほど大きくない場合には、定期的に検査をして経過観察をします。大きな嚢腫の場合は茎捻転を起こしやすくなるので、手術が必要になることがあります。

卵管留水腫

細菌やクラミジア感染により卵管に炎症が起こって卵管が閉塞し、液体が貯留したもののことを卵管留水腫と言います。
卵管の狭窄・閉塞をきたすため、不妊症や子宮外妊娠の原因となることがありますが、症状はほとんどなく、不妊検査などによって明らかになることがあります。
治療は、卵管切除術や卵管開口術が行われます。

ポリープ

婦人科領域の主なポリープには、子宮頸管ポリープと子宮内膜ポリープがあり、いずれも大部分は良性ですが、ごく稀に悪性が見つかることもあります。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管の粘膜が増殖して、子宮口からはみ出したものです。ごく稀に悪性が見つかることもあるので、原則的には切除して組織検査を行います。多くは外来で簡単に切除できますが、難しい場合は、入院、麻酔下で切除します。
繰り返しできてしまうことがありますので、切除後、定期的な検査を受け続ける必要があります。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープとは、子宮内膜表面から、突出した腫瘍のことで、40~50歳代に多く、症状として不正出血がみられることがあります。多くの場合、良性ですが悪性が見つかることもあります。そのため、悪性の否定のため子宮内膜細胞診を行う必要があります。
不正出血などの症状があるもの、無症状であっても悪性の可能性があるもの、不妊症があるものは摘出する必要があります。それ以外のものでは経過観察となります。

バルトリン腺嚢胞・膿瘍について

バルトリン腺は、外陰部の下1/3の腟側方にあって、性的に興奮した際に潤滑液を出して性交を行いやすくします。
バルトリン腺嚢胞は、感染による慢性的な炎症が原因となってバルトリン腺の開口部が閉塞し、嚢胞になったもので、感染を伴うと膿瘍となって痛みを伴います。

バルトリン腺嚢胞・膿瘍の症状

原因菌には、ブドウ球菌、大腸菌、レンサ球菌、淋菌、嫌気性菌などがあります。
バルトリン腺外陰部に嚢胞ができている状態では、通常、痛みなどの症状は伴いません。しかし、感染して膿瘍を形成すると、局所的な痛みを感じますし、赤く腫れて熱感を覚えるようになります。
バルトリン腺膿瘍は、大きくなると鶏卵ほどにまで腫れあがるケースもあります。

バルトリン腺嚢胞・膿瘍の治療

バルトリン腺部にしこりが見られることから、診断は容易です。多くは片側に発生し、ほとんどの患者さまは、バルトリン腺膿瘍の状態になって痛みと腫瘤に気づいて受診されます。
手術によらない保存的治療では、抗生物質を投与します。また、必要に応じて膿瘍を穿刺または切開で排膿し、その内容液を一部採取して、細菌培養検査を行い、原因菌を特定します。
しばしば再発するため、外科的治療として、病変部を切開し、膿の排泄口をつくるバルトリン腺嚢腫開窓術や嚢胞自体を摘出するバルトリン腺嚢腫摘出術という手術が選択されます。

電話再診
電話での結果説明をご希望される方は、受付で予約をし、電話再診料をお支払い頂いた上で、予約日時に03-5961-9966へお電話ください。
※こちらからお電話することはありません。