避妊
リスクや注意点などをわかりやすくお伝えして、ご自分のライフスタイルや体質に一番合った方法をご相談いただけます。
避妊方法についてご説明しています。
低用量ピル(OC)
OCとは、卵胞ホルモン、黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれた薬で、排卵を抑える作用と子宮頚管粘液や子宮内膜に作用して避妊効果を発揮します。
コンドームを理想的に使用した場合の妊娠率は2%ですが、低用量ピルの場合は0.3%です。これは、不妊手術や子宮内避妊具に匹敵する数字です。
さらにピルには避妊以外の副効用があり、副作用もあります。
OCのメリット
- 生理痛の軽減
- 生理の量減少
- PMSへの効果も期待できる
- ニキビの軽減する
- 卵巣がん・子宮体がん・大腸がんのリスク減少
副作用
ピルの飲みはじめには、不正出血(12%)嘔気(7%)、体重増加(5%)、乳房の張り(4%)、頭痛(4%)などを生じることがあります。これは通常、3ヶ月以内に消失します。
ピルは命にかかわる重大な副作用として、血の塊ができて血管を詰まらせる血栓症があります。手や足や眼の静脈に発生する静脈血栓症、肺動脈がつまる肺塞栓症(エコノミークラス症候群)、脳血管がつまる脳梗塞、心臓の動脈に血栓ができる狭心症や心筋梗塞などがあります。こうしたリスクについて、当クリニックではわかりやすく、しっかりお伝えしています。
以下の症状が出た時は血栓症の可能性がありますので、内服をやめてすぐに救急医療機関を受診してください。
- 激しい腹痛
- 胸の痛み、息苦しさ、突然の息切れ
- 激しい頭痛、持続する頭痛、まひ
- 視力障害、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害
- ふくらはぎの痛み、腫れ、むくみ、押すと痛い、赤くなっている
乳がん発症リスクについて
ピルを服用している場合の乳がんのリスクは、2015年度版OC・LEPガイドラインでわずかに上昇する可能性があるとされています。定期的な乳がん検診と自己検診をして下さい。
子宮頸がんとピルについて
OCは、服用期間が長いほど子宮頸がん発症リスクを増加させる可能性があります。子宮頸がんにはHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が関係していますが、OC内服によってすでに感染したHPVの排除率が低下するため、持続感染のリスクが高くなるからだと考えられます。
OC服用の有無にかかわらず、性交時のコンドーム使用、禁煙、定期的な子宮頸がん検診、HPVワクチン接種が重要です。
緊急避妊(アフターピル)
緊急避妊とは、避妊をしないでセックスをしてしまった場合や、コンドームが破けるなど避妊の失敗があった時に妊娠を防止する方法のことです。
性交後72時間以内に緊急避妊ピル(レボノルゲストレル)を飲むことによって、排卵を抑制する、受精を妨げる、子宮への受精卵の着床を阻止するなどの効果が期待できます。
レボノルゲストレルは避妊に失敗したときに使用できる唯一のお薬で、避妊効果が高く(100%ではありません)、副作用も低いという理由から厚労省に承認されています。
レボノルゲストレル以外の緊急避妊薬は厚労省からは承認されていないものになりますので、何か重篤な副作用などが発生した場合は自己責任となってしまいますので、メリット・デメリットを十分に考えたうえで選択してください。
ノルレボ | |
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薬剤名 | ノルレボ錠0.75mg |
成分・含量 | レボノルゲストレル |
服用方法 | 性交後72時間以内に1回服用 |
効果 |
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副作用 |
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厚労省の認可 | 厚生労働省が承認 |
医薬品副作用救済制度 | 適応となる |
副作用は悪心、嘔吐、不正出血などがあらわれることがあります。これは24時間以上継続することはありません。内服して3時間以内に吐いてしまうと再度内服する必要がありますが、3時間を経過しての嘔吐であれば心配いりません。
次の生理は、予定していた日より早く来ることもありますし、遅く来ることもあります。
また月経だと思っていた出血が実は不正性器出血や妊娠初期の出血だということもあります。
月経が予定より遅れる、通常の生理より軽い、体調がいつもと違うなどがありましたら、3週間後に市販の妊娠検査薬で確認してください。
性交後72時間を超えてしまった場合
72時間を超える場合のレボノルゲストレルの服用では避妊効果は減弱しますが、120時間までであれば効果を期待できます。また、レボノルゲストレルを服用したにもかかわらず妊娠してしまった場合、生まれた赤ちゃんに異常があったということは今まで知られている限りありません。
子宮内避妊具(ミレーナ)
低用量経口避妊薬(OC)の高い避妊効果と、子宮内避妊用具(IUD)の長期の避妊が可能であるという両方の特徴を持っています。
子宮内膜に作用して内膜が薄くなることで受精卵の着床(妊娠の成立)を妨げたり、子宮の入口の粘液を変化させて精子が腟の中から子宮内に進入するのを妨げたりすることで避妊効果を発揮します。
基本的には出産経験のある方におすすめしていますが、出産していない方でも使用することは可能です。
ただし、子宮の入り口が狭い場合は挿入が難しかったり、挿入時の痛みが強く出たりする可能性があります。
装着時期 | 月経開始後7日以内 |
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挿入時 | 下腹痛や出血を伴うことがあります。また迷走神経反射として失神や除脈を起こす可能性があります。 |
挿入後 | 数日間、出血、下腹部痛、腰痛、おりもの等の症状が現れることがあります。 出血に関しては、3ヶ月くらいは現れる場合もあります。症状がひどい場合や長く続く場合には受診してください。 自然脱落や子宮穿孔の有無確認のため、挿入後1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、その後は1年に1回の定期診察を受診してください。 |
副作用
月経時期以外の出血、月経の異常、卵巣嚢胞、腹痛、脱出、骨盤内炎症性疾患、子宮外妊娠、穿孔、卵巣嚢胞破裂などの副作用が考えられます。
ミレーナは、5年で交換が必要になります。外来で除去できますが、まれに子宮筋層内に埋没して、麻酔下での除去が必要になることもあります。
月経移動
旅行や結婚式など、大事なイベントと生理がかさなってしまいそうという場合、中用量ピルを使用して月経を移動することができます。
生理を遅らせたい場合
生理予定日の6日前までにいらしてください。
生理を早めたい場合
生理開始~4日目までにいらしてください。
中用量ピルを服用終了後、2~5日程で生理が始まります。それ以降の生理はいつもの生理周期になります。ただし、月経移動の効果は100%ではありません。まれに薬の効果がないこともありますのでご了承ください。
遅らせる薬を内服中に出血した場合
少量の出血であれば内服を継続します。内服を継続したにもかかわらず出血量が増え、生理となってしまった場合には内服を中止していただいても結構です。
早める薬を内服しても生理が来ない場合
内服終了後、7日目になっても生理が来ない場合には、ご来院ください。生理を遅らせる薬を処方して月経時期をコントロール可能です。
ブライダルチェック
ブライダルチェックは、妊娠や出産を控えた女性を対象とした婦人科系の検診です。
初期症状に気づきにくい婦人科系トラブルの早期発見と治療が可能であり、これが大きなメリットです。
「ブライダル」という名称がついているので、よく結婚式前に受ける検査だと思われがちなのですが、結婚してからであっても、もちろん検査を受けることはできます。
ブライダルチェックの対象者は妊娠や出産を考えている方です。年齢や結婚の有無は関係ありません。
ブライダルチェックの主な検査内容
- 問診
- 内診
- 風疹抗体検査(血液検査)
- 梅毒検査(血液検査)
- HBs抗原検査(血液検査)
- HCV抗体検査(血液検査)
- HIV-1、2抗体検査(血液検査)
- クラミジア抗体検査(血液検査)
- クラミジア抗原検査(分泌物検査)
- 淋菌抗原検査
- 腟トリコモナス検査
- カンジダ膣炎検査
- 細菌性膣炎検査
- 子宮頸がん検査
- 超音波検査(子宮・卵巣) など
※婦人科は完全予約制です。待合室の混雑や長くお待ちいただくことはありません。
※女性の患者様が安心して受診できるよう、男性の付き添いをお断りしております。
風疹検査・風疹ワクチン
妊娠初期に風疹に感染すると、胎児も風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、発達障害等の先天性風疹症候群児が出生する確率が高いことが知られています。妊娠を希望する方などが充分な抗体価を持つことが必要です。低抗体価の方は予防接種(ワクチン)を受けられます。
豊島区に住民登録があり、妊娠を希望する女性で、平成25年度以降に本事業で予防接種を受けていない方は無料で抗体検査と、風疹抗体価が低い場合は予防接種(ワクチン)を受けることができます。
豊島区以外にお住まいの方も自費になりますが、抗体検査や予防接種(ワクチン)を受けることができます。
注意点
※予防接種(ワクチン)を受ける場合は、生理開始から10日以内に受診してください。
※女性は予防接種後、3か月は妊娠を避けることが必要です。